特別インタビュー
 
医療法人社団崇仁会 船戸クリニック 船戸崇史 理事長に訊く
 
 

 「私のがん治療」
医学が進歩してもがんが難病であり続けるのは
がんの言い分がしっかり聴けていないからです

 

私は、生き方の間違いが発生原因だと考えています

——まずは、先生のご経歴からお伺いします。
船戸 岐阜県で生まれました。愛知医科大学を卒業後は岐阜大学第1外科に入局し、その後は西美濃厚生病院や羽島市民病院に勤務しました。専門は消化器腫瘍外科ですが、診療を続けるうちにメスで切ることだけが治療ではないと思うようになり、在宅で最期を迎えたいという患者さんの希望をかなえることに貢献したいとも思うようになりました。そこで、1994年に在宅医療がやりたくて船戸クリニックを開業しました。
——しかし、現在は在宅医療だけではなく、がんの治療や予防にも力を入れていらっしゃるのはどうしてですか。
船戸 原因があるからこそ発生するがんに対して、西洋医学は患者さんがどうしてがんが発生したのかについては、まったく追求しません。そこにあるがん細胞を手術で切り取るか、抗がん剤でたたくか、放射線で焼くかして治療してそれで終わりです。
 しかし、発生原因を追求しないで同じような生活をしていれば、またがんが発生してしまう可能性は大きいのです。
 私は、生き方の間違いが発生原因だと考えていますので、それを追求して改善しながら治療を行うことが必要と考えたからです。

がんになったということは人間性が良いお人好しということ

——先生がお考えになる、がんの発生原因とは何でしょうか。
船戸 それは生き方にあり、「我慢して、頑張る、頑固者」という性格が煽ります。私はがんになる〝生き方の3G〟と言っています。
まじめで頑張り屋さん、他人にNOと言えずに我慢していつも交感神経優位の生活のため緊張状態が解けず、頑固な性格からそれを続けてしまう人が免疫力を落としがんになるのです。
 そして、「がんになった自分は敗者であり、他人に恥ずかしくて話せない」と、がんを悪として考えてしまう人が多いのですが、そのような考えは間違った考えで、がんになったということは、人間性が良いお人好しだから無理をしたと思ったほうがよいと思います。私ががんになったくらいですから。
 つまり、がんになった理由は「悪」ではなく「無理」だということです。

正しい食事と十分な睡眠、体を温めること、適度な運動、よく笑う

——無理をしすぎると体の側が悲鳴を上げてしまい、がんを発生させて警鐘を鳴らすということですね。
船戸 そうです。ですから〝がんの言い分を聞く〟ことが大切なのです。「がんの原因は自分にあった」と受け入れ、生き方を転換しがんを治す軸を自分軸にすることが重要です。すると同じ治療を受けても効き方が良いように思います。
 がんが消えるかどうかは結果であって、そこだけにフォーカスせずに「がんが治って何をしたいのか」ということにフォーカスすることが重要です。がん治療は「手段」であって、治ってからしたいことこそ本当の「目的」だからです。
 具体的には、①正しい食事と、②十分な睡眠、③体を温めること、④適度な運動、⑤よく笑うこと、の5カ条に留意して生活することが重要であり、結果として治療効果を高めます。
 このことを心がけている患者さんは、仮にがんが消えなくても進行するスピードが遅くなるように感じています。逆にそのまま進行してしまった患者さんは生き方に変化なく従来通り緊張状態が続いたからだと思っています。
——がんの言い分を聞き、生き方を変えることを前提に、こちらで受ける治療法は、どのようなものがありますか。それぞれの治療法の説明もお願いいたします。
船戸 当クリニックでは、高濃度ビタミンC点滴療法、温熱療法(ハイパーサーミア)のオンコサーミア、還元電子治療、低用量抗がん剤、低用量オプジーボ、水素ガス療法などで治療しています。また、妻が東洋医学を学んでいますので、漢方治療や食養生(漢方薬膳)も行います。
 高濃度ビタミンC点滴療法はがん患者さんの間で広まってきていますから、すでにご存じの方も多いと思いますが、点滴にて50〜75g程度のビタミンCを投与してビタミンCの血中濃度を350〜400 ㎎/㎗にします。そうしますと、がん細胞の周囲で過酸化水素を生成しますので、その過酸化水素ががん細胞を攻撃します。しかし、正常細胞はカタラーゼという酵素が中和するので、影響を受けないのです。
 また、ビタミンCは免疫システムを刺激し、免疫力を高めるという効果もあります。がんを直接攻撃し免疫力も高めるという、〝理想の天然抗がん剤〟とも言われています。
 温熱療法は、がんが正常細胞より熱に弱い特性を利用する治療法ですが、当クリニックで導入しているオンコサーミアは、従来の温熱療法とは異なります。
 従来のハイパーサーミアは、がん細胞が42・5℃以上の高温では死滅することを応用した治療法です。しかし、体の深部の場合は血流により熱が下がってしまいますので、治療機器の出力を上げ高温化して治療にあたります。しかし、その際に熱傷や強い不快感がありました。オンコサーミアは、細胞膜に適切な電流を流すことでがん細胞のアポトーシス(細胞自死)に誘導させることをハンガリーのサース教授が発見し、これを応用した治療法です。
 還元電子治療は、細胞内のミトコンドリアに電子(マイナスイオン)を送り、活性酸素の除去や細胞の活性化を行う治療法です。がんは、さまざまな原因によって細胞内に発生した活性酸素が遺伝子を障害することで、正常細胞ががん化することから起こります。還元電子治療は電子を注入して還元することで、活性酸素を中和させ細胞を正常化させる治療です。
 低用量抗がん剤や低用量オプジーボは、抗がん剤の副作用を極力抑えるという意味もありますが、抗原提示してオプジーボを効きやすくする効果を期待しています。低用量のオプジーボでも原発巣が消え完全緩解した事例も複数経験しております。
 水素ガスも注目されていますが、オプジーボの効果をより増強し20〜25%の高効率を60〜70%まで上げうるという研究データには励まされます。

「リボーン洞戸」は、がん予防滞在型リトリートとして開設

——どれも期待の持てる療法ですが、生き方を見直したうえで治療を受けるのですからさらに効果が期待できますね。
 ところで、本誌2019年1月号のグラビアでご紹介した「リボーン洞戸」が設立から2周年を迎えられました。とても素晴らしい自然の中で、生き方を変えるのは絶好の環境の施設ですが、こちらについても簡単にお話しください。
船戸 〝リボーン〟とは生まれ変わるということです。がんが発育したということは、それまでの生き方は無理の多い悪しき生活習慣だったと言えます。一番重要な生き方を変えるとは自然体に戻ることであり、まさに大自然の環境に抱かれ無心になることが大事だと言えます。その意味で、美しい水や空気と山々に囲まれた大自然の中に、「リボーン洞戸」は滞在型リトリートとして開設いたしました。
 この施設に滞在いただいて免疫力をアップする新しい生活習慣を身につけることで、今までとは違った生き方に変わるお手伝いをさせていただきます。
——クリニックとともに、リボーン洞戸の今後に期待しています。
 それでは、最後にがん患者さんへメッセージをお願いします。
船戸 がんはリボーンのメッセンジャーです。繰り返しになりますが、がんの言い分を聞いてください。21世紀の現在、これだけ医学が進歩してもがんが難病であり続けるのは、がんの言い分がしっかり聴けていないからだと思います。がんの言い分を理解し、生き方を変えればがんは消えるしかありません。
 本来食事に悪いものはありませんが、お砂糖などのがんが好きなものは控えて、感謝を忘れずにいただくことです。睡眠は午後10時に寝て6時に起床されることを推奨していて、これを「十、六睡眠がん知らず」と呼んでいます
 笑いも大切です。がん患者さんは「笑ってなんかいられないよ」と思われるかもしれませんが、〝がんにもかかわらず笑う〟ことを勧めていて、これを「にもか笑い」と呼んでいます。
 体は治るようになっています。先ほどお話しした、生活習慣改善の5カ条の実践が重要です。
 

●船戸クリニック
〒 503-1382 岐阜県養老郡養老町船附1344 
TEL:0584-35-3335
http://www.funacli.jp/

 

船戸クリニック外観


オーガニックな食材を使用した「ふなくり食堂」


活性酸素を除去する還元電子治療器


がんが熱に弱いことを利用したオンコサーミア治療器


チーム医療に取り組む。船戸理事長と井原看護師長