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第33回

体の要求に従って食べていれば、生命のエネルギーは高められる

きちんと3食を
摂らなくてもいい

私たちは大自然と調和しながら生きています。朝になれば東の空から太陽が昇って辺りを照らし、世の中が活発に動き始めます。そして、西の空に太陽が沈んで夜になると、辺りが静寂に包まれてきます。それに合わせ、私たちは朝に起きて日中に働き、夜に眠るという生活を送っています。
私たちが朝・昼・晩と1日3回の食事をするのは、こうした自然との調和を図るために定着したのではないかと思います。といっても、きちんと3食を摂らなければいけないということはありません。
ときどき、私を講演に招いてくれる長野県・飯綱高原のホリスティック・スペース「水輪」という施設では2食が原則でした。朝食は10時頃に玄米と野菜料理を食べ、夕食は18時頃に食べるのです。この間、空腹に襲われてしまうことはなく、2食で十分なのです。
「水輪」の周辺の環境は自然に恵まれています。その自然を堪能することに加え、招かれるたびに楽しみにしているのが、オーナーがつくってくれる夕食です。私が自然の恵みと旬のパワーをふんだんに含んだ夕食に舌鼓を打っていると、その次の夕食はより心を込めてつくってくれます。そのような料理を口にすると、つくってくれる人の心も自然治癒力を高める力を持ち合わせていると感じます。もちろん、それは家庭においても言えることです。料理をつくってくれる奥さんに「美味しい」と言葉にして感謝しながら食べれば、自ずと自然治癒力はアップするはずです。
「水輪」の体験から言えるのは、きちんと1日に3食摂らなくてもいいということです。それでも、朝・昼・晩と食事の時間が決まっていれば規則正しい生活になり、体調を整えやすいという利点があります。言い換えれば、生活のリズムは崩さないほうがよいのですが、1日に3食を必ず食べなければいけないということはないのです。ただ、会社などにお勤めの人は朝・昼・晩と食事をきちんと摂ることが可能ですが、そうはできない職業の方もいます。ですから、たとえば1日に2食、あるいは4食でも、その人の生活リズムに合っていればいいのです。
もちろん、きちんと3食を食べないといけないという強迫観念に囚われる必要はないと思いますが、食欲不振に陥ったときは体のチェックを怠らないようにしたいものです。

「旬の味覚」と「食の知恵」がある日本食

「健康のためには1日に30品目の食材を摂取するとよい」と言われています。それは、がん予防にもいいとされています。つまり、30品目のなかに発がん性のあるものが混ざっていても、それだけ種類があれば結果的に薄まって、がんの発生率を抑える、というのが理由です。
しかし、考えようによっては、発がん性のある品目が増えてしまう可能性も否めません。ですから、私は30品目にこだわる必要はないと考えています。それよりも、日本の伝統的な食生活を基準に、バランス良く食べるほうがいいと思うのです。
私が名誉院長を務める帯津三敬病院で食事指導をしている管理栄養士の幕内秀夫さんは、玄米に味噌汁・漬物・旬の野菜のおかずを中心にした伝統的な日本食を勧めています。
旬の野菜と言えば春夏秋冬といった季節がある日本では、四季折々の野菜を味わうことができます。春には、タケノコ・ふき・根ミツバ・春キャベツ……。初夏には、そら豆・新じゃがいも・さやえんどう・玉ネギ……。夏にはキュウリ・ナス・トマト・ピーマン……。秋には、里いも・ごぼう・ニンジン……。冬には、ネギ・大根・白菜……。
このように日本で口にできる野菜の種類は枚挙に暇がありません。それでも、日本人の野菜の摂取量は多くないと言われていますので、可能な限り野菜中心の食事を心がけたいものです。
また、ニンジン・ほうれん草・ブロッコリー・さやえんどう・かぼちゃといった緑黄色野菜には、体内の細胞や組織を酸化させてしまう活性酸素を取り除く抗酸化成分が含まれています。加えて、ほうれん草や小松菜などの葉野菜に含まれているカリウムは、ナトリウムを尿の中に追い出す作用があります。ただし、茹でるとカリウムが溶け出してしまう可能性が高いので、スープ煮や鍋料理にするなどして養分を逃さない工夫をするといいでしょう。
日本には昔から、干シイタケ・切干大根・干ぜんまいといった乾燥させた食物があります。これらは、塩漬けして保存する食物のように塩分を摂り過ぎる心配がないうえ、カリウムと食物繊維を補給できる「日本人の食の知恵」と言えるのではないでしょうか。

ゆとりを持って塩分の摂り過ぎに留意する

本来、塩分は体を温めたり気力・体力を養ったりと、人間には不可欠な栄養素です。しかし、摂り過ぎると高血圧や心筋梗塞、腎臓病、胃がんなどを引き起こす恐れがあることから「塩分は1日10g以下が理想」と言われています。しかし、私はそれほど厳密に減塩を考えなくてもいいと思います。むしろ、減塩に神経質になり過ぎて、摂取しないことの害が心配です。とりわけ、夏に汗をかいた後には補給が必要です。
私が大学生の頃、下宿のそばに高校時代の友人が暮らしていました。彼と深夜まで酒を酌み交わしたときは、門限の関係で彼の家に泊めてもらっていました。彼は若くして結婚していたので、奥さんが朝食に炊きたての白米と塩サケを用意してくれました。その塩サケは塩が吹いているような塩辛いものでしたが、実に美味かったことを覚えています。そして、今でも塩辛い塩サケは私の好物の1つです。
塩分の摂り過ぎを自覚したら、翌日には塩分を控えるといった具合に、ゆとりを持って塩分の摂り過ぎに留意すればいいと思うのです。ただし、塩は精製塩より、ミネラルを含んでいる自然塩を用いたいものです。
また、健康食として、とりわけ高齢者にとっての論議の的になるものに牛乳と肉があります。私は、若い頃には牛乳をよく飲んだものです。牛乳には、タンパク質や脂肪、ビタミンA・B₁・B₂、マグネシウム、マンガン、リン、カルシウムといった栄養素が豊富に含まれています。こうした完全栄養食品であるが故に、肥満・糖尿病・痛風といったカロリー過剰から起こる病気の人や、肺がん・乳がん・脳血栓・心筋梗塞といった栄養過剰から起こる病気の人は、飲むのを控えたほうがよいでしょう。
牛肉にはビタミンB₂や鉄分、豚肉にはビタミンB₁、鶏肉にはビタミンAが多分に含まれています。私は、疲労感を覚えたときにステーキを食べると元気が出てきます。肉には体を温める作用があることから、昔は体力回復の〝妙薬〟として食されていました。ですから、私は、心をときめかせる程度に、ときどき、肉類を食べているのです。
いずれにしても、食べ物は私たちの健康と密接に関係しています。ですから、世の中の風潮に惑わされることなく体の要求に従って食べていれば、生命のエネルギーは高められると思います。

(構成 関 朝之)

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帯津三敬病院名誉院長
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