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第37回

ホリスティック医学の基本となる自然治癒力について

自然治癒力を念頭に置いた医療を心がけるべき

私が半生を費やして追い求めているホリスティック医学。その基本となるのは「自然治癒力」です。
自然治癒力は免疫力・自己治癒力といった言葉と混同されがちです。しかし、私の考える自然治癒力とはもっとスケールが大きく、人間だけでなく植物や動物といった命あるものすべてに影響する力だと考えています。
「自然治癒」とは、読んで字のごとく「自然に治った」とか「自然に良くなった」という意味です。たとえば、ちょっとした傷ならば何も治療をしなくても塞がってしまいますし、軽い風邪であれば安静にしていれば元気になってしまいます。つまり、自然治癒力は、すべての生き物が病気やケガを負ったとき、それを治そうとする基盤となる力なのです。
自然治癒力は目に見えないため、西洋医学では関心を示されることはありません。しかし、私は、この自然治癒力を念頭に置いた医療を心がけなくてはいけないと思っています。
もちろん、素晴らしい力である自然治癒力が備わっていても、すべての病気やケガが克服できるわけではありませんx。また、体内のダメージが大き過ぎて修復力が及ばなかったり、回復させるパワーが不足したりするケースがあり、それが病気となって現れてくることもあります。いくら自然治癒力を持ち合わせていても、次から次へとダメージを受けていてはその修復作業が追い付きませんし、何らかの要因によって自然治癒力が弱まっていたらその修復力は十分に発揮されないでしょう。

自然治癒力の3つの作用

昔と比べ、最近の現代人の自然治癒力は弱まってきているように感じます。本来なら、ある程度の年齢を過ぎてから発症すると考えられるがんは、最近では20歳代・30歳代でも発症するケースが増えてきています。その他、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、花粉症といった免疫が関係している病気も増加の一途をたどっています。そんななか、注目されているのが自然治癒力を高めることです。
現代医学で言われる自然治癒力には、主に3つの働きがあると言われています。それは、恒常性維持機能(ホメオスタシス)、自己防衛機能(生体防御)、自己再生機能(生体修復)です。
恒常性維持機能は、体内の状態を一定に保とうとする機能です。たとえば、暑いときに体温を一定に保つために汗をかいたり、体内の水分量を保つために尿量を調節したり、体内の血液循環をコントロールしたりといったものです。自己防衛機能は、細菌やウイルスなど、体外から侵入した異物を攻撃する力です。自己再生機能は、傷ついたり古くなったりした細胞を修復・再生する力です。ちなみに、これら以外に、気やエネルギーといったスピリチュアルな要因も自然治癒力に関係していると考えていますが、今回は現代医学の領域における自然治癒力に絞って説明します。
ホメオスタシスは、体外の変化や乱れ(気温・湿度・運動など)や、体内の生理機能のバランスの乱れがあるときに、その状態に合わせて体内の環境を一定に保つ機能です。その代表的なものが自律神経でしょう。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は、運動するとき、緊張したときなどに働きます。それに対し、副交感神経は、食事や睡眠時に働いて心身をリラックスさせる働きがあります。
こうした自律神経のバランスが上手にとれていれば、昼夜・季節・環境などに応じて、交感神経か副交感神経のどちらかが優位に働き、常に体内のバランスを保つことができます。けれども、長期間に過度のストレスがかかったり、多忙な仕事が続いたりなど、自律神経のバランスが崩れるような生活を送っていると、さまざまな病気を招くことになりかねません。
先述のホメオスタシスは自然治癒力のうちの一部の働きだと言えます。その自然治癒力は体内のバランスを保つ以外に、思いもよらない力を発揮することがあります。それは、たとえば信頼できる人との出会い、感動できる体験など「心の作用」によって自然治癒力が高まったときです。この自然治癒力の高まりが心身を健康に保ったり、症状を改善させたりすることに繋がっていくのです。
また、自己防衛機能と自己再生機能といった免疫機能は、ケガや病気を治そうとするシステムのことです。たとえば、転倒してすりむいたときは自己再生機能が働いて傷ついた皮膚や組織を修繕します。このとき、傷口からウイルスや細菌など異物が侵入した場合には自己防衛機能が働いて、免疫細胞がこれらを攻撃します。
この2つの機能が絶えず働いているので、私たちがケガをしたり病気になったりしたときに滅多に感染症に罹ることはありません。たとえ感染症に罹ったとしても病原体が攻撃されて無力化し、傷ついた細胞が自己再生して傷口が塞がるのです。

免疫細胞の主力を担うのは白血球の働き

免疫細胞の主力を担うのは白血球です。その白血球は、単球(マクロファージ)、リンパ球(Tリンパ球・Bリンパ球・NK細胞)、顆粒球(好中球・好塩基球・好酸球)に大きく分けられます。
マクロファージは体内に侵入した細菌や異物をキャッチすると、それを体内に取り込んで殺します。そして、発見した異物をリンパ球に知らせ、さらに免疫を活性化させるサイトカイン(細胞間で情報を伝達する物質)を放出します。顆粒球は細菌など、比較的大きな病原体を死滅させます。
リンパ球は、マクロファージや顆粒球が見逃す小さなウイルスやタンパク質を攻撃して無力化させます。また、マクロファージから伝わった情報はTリンパ球が受け取り、Bリンパ球へと伝えられます。そのBリンパ球は情報を基にウイルス(抗原)を攻撃する抗体をつくります。
NK細胞は「ナチュラルキラー細胞」とも呼ばれ、ウイルスや細菌に侵された細胞やがん細胞を攻撃します。この細胞はTリンパ球やBリンパ球と異なり、マクロファージからの情報がなくても、異物とみなしたものを攻撃する性質があります。NK細胞が活発に活動している人にがんが少ないという研究結果もあり、現在、この細胞ががんの予防や治療に重要な役割を果たしていると考えられ、その研究が進められています。
顆粒球は、長期間にわたり強いストレスを受けた、過度に頑張り過ぎた、あるいは興奮状態が続いたときなど交感神経が優位になった状態に増えてきます。顆粒球が増え過ぎると自分の細胞を傷つけ、がんの誘因になってしまいます。その反対に、リラックスし過ぎると副交感神経が優位になり過ぎます。その結果、リンパ球が増え過ぎてアレルギー性の病気が発症すると言われています。
以上のように免疫機能についてはさまざまなことが解明されてきていますが、この複雑で高度なシステムがどこでつかさどられているのかは、今のところよくわかっていません。
その答えを見つけるには、西洋医学の領域だけを見ていたのでは難しいのかもしれません。免疫は、そのときどきの条件や環境に合わせてフレキシブルにつくられるものだからです。

(構成 関 朝之)

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