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第11回

学会報告:アルジェリア・オーソモレキュラー医学会

2013年1月28日から4日間、アルジェリア・オーソモレキュラー医学会の招待で首都アルジェを訪問し、教育講演をいたしました。折しも1月16日に南東部イナメナスでイスラム武装勢力による人質事件が発生した直後でした。この時期に行くべきかどうかを悩みましたが、今回の事件が内乱ではなく局地的テロ事件であること、私が訪れるアルジェはイケナメスから千数百キロ離れていたこと、外務省の危険情報では「渡航禁止」ではなく「十分注意してください」であったこと。そして、私の国際オーソモレキュラー医学会会長講演がメインプログラムであったことからアルジェリア訪問を決めました。

■アルジェリア・オーソモレキュラー医学会について

57会長.psdイリス・バグリ会長と著者アルジェリア・オーソモレキュラー医学会の歴史は新しく、2010年に設立、イリス・バグリ会長、タハール・ナイリ副会長、アリ・アスバイ事務局長が就任しました。
分子栄養療法は病気の予防と治療に安全な食事、サプリメントで行う療法です。それで無効な場合や急性疾患では従来の医薬品を使います。分子栄養療法は安価で安全であり、アルジェリアのような新興国の医療費負担を減らす理想的な療法です。
この学会の特徴は1年かけて開催される6つのモジュールからなる分子栄養療法の教育プログラムです。各モジュールは2日間のプログラムからなり、栄養素の代謝・生理から点滴治療まで分子栄養療法の基本から実践まで学べるようになっています。またどのモジュールからでも受講を始めることができ、すべてのモジュールを受けることで認定証が与えられます。この方式は日本でも行いたいと思いました。
今回の第6回モジュールでは初めて全モジュールを受講した認定者が生まれ、私の署名が入った認定証が渡されます。

■アルジェリアの首都アルジェ市訪問

日本からはドイツのフランクフルトを経由して昼にアルジェ国際空港に到着しました。入国審査と荷物検査に1時間半、ようやく出迎えのナイリ副会長に会うことができました。
副会長の運転でヒルトンホテルへ向かいます。ヒルトンホテルの敷地内に入る、入り口ゲートに車止めがあり、まずセキュリティーチェック、車のボンネット、トランクルームをチェックしてから入ります。ホテル入り口の回転扉から入るとすぐに金属探知機のゲート、手荷物はX線検査と厳重です。すべてが当たり前に行われているので、これは今回の人質事件によるものではなく、これがアラブでは当たり前のセキュリティ対策なのだと気づきました。特に大きなホテルでは、外国からの重要人物が宿泊するのでセキュリティが厳重になります。
夜は市内のアルジェリア料理のレストランで、学会理事の方々と初顔合わせです。食事はサハラ砂漠風ラム肉のローストをおいしくいただき、夜遅くまで楽しく会話が盛り上がりました。

■学会1日目 講演

57学会の雰囲気1.psd学会は2日間にわたって行われた(出席者は約100人)「高濃度ビタミンC点滴療法」
市内のソフィテルホテルにある会議場で学会が開催されていました。会場ではフランス、ドイツ、イタリア、アルジェリアの講師による教育講演が行われ、約100人の出席者で各講演後は熱心な質問が飛び交っています。私は昼食後の午後の講演でしたが、金曜日の礼拝に行く出席者を待つために開始が30分ほど遅れました。お国柄を感じます。
私は英語で講演、フランス語の逐次通訳で約90分の講演を行いました。内容は「高濃度ビタミンC点滴療法によるがん治療―リオルダンプロトコル」です。アルジェリアで入手可能な製剤で具体的な処方まで解説をしました。講演後は、具体的な質問を30分にわたって受けることになりました。
学会には新聞社が来ていたとは聞いていましたが、その後3日間、7つの新聞が私の講演を記事にとりあげました。すべて好意的でした。なかでも辛口で知られるL'Expression 紙は社説で「高濃度ビタミンC点滴療法は安価で副作用のない素晴らしい治療である」と賞賛、さらに「今こそ腫瘍専門医は製薬会社との結託を解消し、がん患者に対して、崇高な希望と笑顔を与えるべきである! 彼ら(腫瘍専門医)も皆と同じ人間であり心を持っているはずだ!」と述べていました。日本でもこのような本音を伝えるメディアがあったならば、がん治療はもっと変わっていただろうと思います。私はこれまでの7年間に、日本で主要といわれる新聞5紙から、高濃度ビタミンC点滴療法についてただの1度も取材を受けたことはありません。
その夜は、学会の理事たちと地元で人気のピザハウスに繰り出しました。

■学会2日目 講演

「分子栄養に基づく被ばく対策」
午後より福島原発事故で起きた放射線被ばくに対する健康障害の防御について話しました。まず、アルジェリア政府が震災直後に20億円の支援をしてくださったことに感謝し、続いて私たちが提案するビタミンCを用いた分子栄養療法による被ばく対策と活動、そして映画『a Gift』を上映しました。アルジェリアは4カ所の原発建設が進んでいるそうです。会場にはアルジェリア軍の原発災害担当者、アルジェリア国営衛星テレビ、新聞社が来ていました。講演は日本での私たちの活動や映画『a Gift』を讃える暖かく力強い拍手、自衛隊がビタミンCを飲んで福島原発に出動したことの驚き、それを無視する政府や東京電力に対する怒りと軽蔑、母親の視点で乳幼児への対処を熱心に質問する女性医師の姿など、熱い時間となりました。講演後も多数の出席者から賛同と応援のメッセージをいただきました。
すべての出席者には映画のDVDを配布し、
「ぜひご家族、ご友人と一緒にご覧いただき、子供たち、そして次世代の人類のためにこの栄養療法を広げてください。そして、この世界を核実験や原発のない平和で安全な場所にしましょう。私の友人である皆様、私たちはこの美しい惑星『地球』に共に住む家族です」
という言葉で講演を締めました。

■おわりに―国際交流の締結

学会の成功を皆で祝った後に、アルジェリア・オーソモレキュラー医学会と日本の点滴療法研究会との間で姉妹提携を結びました。患者さんが旅行するときに、互いの国で同じ治療ができるように学会が会員医師を紹介し合える相互交流の締結です。
翌日、学会スタッフに見送られながらアルジェリアを後にしました。

参考
⑴アルジェリア・オーソモレキュラー医学会
http://www.orthomoleculaire.org/
⑵被ばく対策映画『a Gift』の予告編 http://hibakutaisaku.net/dvd/

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スピックサロン・メディカルクリニック

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1.psd柳澤 厚生(やなぎさわ あつお)
杏林大学医学部卒、同大学大学院修了。 医学博士。米国ジェファーソン医科大学リサーチフェロー、 杏林大学医学部内科講師、助教授、杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育センター所長。また、神奈川県鎌倉市にスピックサロン・メディカルクリニックを開設、キレーション、マイヤーズ・カクテル、グルタチオン療法、高濃度ビタミンC点滴療法などを日本に導入。米国先端治療会議認定キレーション療法専門医(CCT)、アメリカ心臓病学会特別正会員(FACC)。2009年第10回国際統合医学会会頭。2011年にカナダのトロント市に本部がある国際オーソモレキュラー医学会において殿堂入り。2012年より国際オーソモレキュラー医学会の会長に就任。著書に『ビタミンCががん細胞を殺す』(角川SSC)、『超高濃度ビタミンC点滴療法ハンドブック』(角川SSC)、『医師と患者のためのキレーション療法』(点滴療法研究会)などがある。