おすすめスポット

黒岩祐治 神奈川県知事に訊く

黒岩祐治神奈川県知事.psd父が遺してくれた貴重な経験を礎に、
神奈川県から「未病を改善する」をさらに発信していきます

 黒岩知事のご経歴につきましてはご存知の方も多いと思いますが、知事になられる前はフジテレビに在職され、日曜朝の「報道2001」のキャスターなどをお務めでした。そのとき、自ら企画・取材を手がけられた「救急医療キャンペーン」が救急救命士制度の誕生に結びつき、多くの命が救われるようになりました。その後、平成23年に神奈川県知事に初当選され、現在2期目となられています。
 今回インタビューさせていただくきっかけとなったのは、知事になられる半年前の日本腫瘍学会でのご講演を拝聴させていただいたからです。
 内容は、お父様のがん闘病のお話で、厳しい状況だったご病状が、漢方によって元気を取り戻されたとのお話でした。とてもインパクトの強い内容で、統合医療をご紹介している本誌に合致していますので、いつか取り上げさせていただきたいと願っていました。
 このお話も含め、本誌通巻100号を記念して現在2期目の知事が取り組まれている〝未病〟(神奈川県では、『ME-BYO』を商標登録)の取り組みなどをお訊きしたいと思います。

12センチのがんは3センチに、5200だった腫瘍マーカーは20に、まさに奇跡が起きたのです

――本日はご多忙のところお時間をお取りいただき、ありがとうございます。早速ですが、知事のお父様が漢方によって快方に向かわれたお話から、お聞かせいただけますか。

黒岩 うちの父は80歳を超えて肝臓がんになりまして、正常値が40以下という腫瘍マーカーが5200、腫瘍の大きさも12センチと、かなり末期の状態でありました。80歳を超えているので手術はできないと医師より説明を受け、TAEというカテーテルで肝動脈から抗がん剤を投与し、かつ、その肝動脈に詰め物をして血流を止める(塞栓)治療を行いました。
 医師よりは、「治療は成功しました」とも説明を受けましたので安心していたのですが、間もなく再発し、再度TAEを受けることとなりました。

未病の重要性を訴える黒岩知事は、戦後公選となって6人目の神奈川県知事である.psd「未病を改善する」ことの重要性を訴える黒岩知事は、戦後公選となって6人目の神奈川県知事であるしかし、今度は抗がん剤の量が多かったのか、父の体力が衰えていたのか、強い副作用により七転八倒するようになってしまい、歩くこともままならなくなり、まったく食べ物も受け付けなくなってしまいました。
 実は、父は2度目のTAEを受ける前に、「病人には見えないよね」と家族で話し合っていたくらい元気だったのです。しかし、治療を受けた後は、まるで坂道を転がり落ちていくみたいに加速度的に状態が悪化し、余命2カ月の宣告も受けました。
 「これはまずいな」と、強い危機意識を持っていたとき、たまたま中国から来られていた劉影(天野暁)先生とあるシンポジウムでお会いすることができたのです。先生は、日本未病医学研究センターを立ち上げられ、現在、東京大学「食の安全研究センター」の特任教授もお務めです。
 そのシンポジウムは、〝末期がん患者に西洋医学は有効か〟というテーマのものでしたが、「現在の父に、ぴったりのテーマだな」と思い司会をしていました。終了後、劉影先生に父のことを相談したところ、後日、神戸の病院に入院していた父を見舞いを装い『診療』してくださいました。

県庁執務室には黒岩知事による「いのち」「食」「氣」などの書がかけられている.psd執務室には黒岩知事揮毫による「いのち」「食」「氣」などの書がかけられている劉影先生は、1時間以上にわたり漢方的アプローチで問診してくださり、脈や顔色などをも診てくださったのですが、結論は「お父様は今とても危険な状態で、氣が落ちています」ということでした。氣が落ちているということは衰弱しているということで、今すぐに亡くなっても不思議ではないとのことでした。
 ではどうするかというと、氣を高める、「補氣」ともいうのだそうですが、がん細胞を直接攻撃するのではなく、氣を補うことが必要とのことでした。これは、病巣だけを診る西洋医学と、人間全体を診る漢方との大きな違いだと思いました。
 劉影先生からは、「漢方では、最期まで良い状態を少しでも長くして生活していただくこと、つまりQOL(生活の質)を高めることはできますが、がんを完治させるとか、死なないようにすることは無理」だとの説明も受けました。
 そして、劉影先生は紙にいろいろなことを書いて漢方の基本的な考え方を説明してくださったのですが、まず第1に強調されたのが、「未病を治す」ということでした。私は、末期の肝臓がんである父が、『末病』ならともかく、なぜ未病なのかと不思議に思いましたが、それでも未病を治すとの考えは有効であるとの説明を受け、そのためには氣を上げることが大切と話されました。
 具体的には、「長芋を蒸して食べてください」と言われました。長芋を干したものは「山薬」と言い、漢方薬として煎じて飲まれているそうで、蒸したものは同じ効果があるとのことでした。これが〝医食同源〟で、食事には大きな意味があり、「有胃氣即生」(胃に氣があればすなわち生きられる)とのことでした。
 そこで、父が退院を希望し医師も認めてくれたので、自宅で朝昼晩と長芋を蒸して食べ始めたのです。毎回同じ長芋を飽きさせないために、お醤油を付けたり、塩をつけたり、マヨネーズを付けたりして、食べ続けました。
 そうしたら、驚くことに食欲がだんだん出てきたので、母も父にたくさん食べてもらおうと料理を作りました。日が経つにつれてみるみる元気になり、半年後には父は「もう俺のがんは治った」と言い始めました。
 そこで、病院で検査してもらったところ、12センチのがんは3センチになり、5200だった腫瘍マーカーは20になっていて、完全復帰となりました。まさに、奇跡が起きたのです。

12