もし〝がん〟になってしまった場合、当然医師に診ていただくことになりますが、医師によって治療法が異なる場合があります。最近はセカンドオピニオンも定着してきましたが、なかにはいまだに患者さんから「セカンドオピニオンを受けるなら他の病院に行ってくれ」などと主治医に言われたという話も聞きます。
そこで、医師自身のがんに対するお考えや、どのような選択を取られるのかなどをがん治療で活躍されている先生にシリーズにてお聞きしています。
今回は、自分の体と向かい合うことで「病を治す」だけではなく「より健康に生きる」ことを目指した医療を行われている、「統合医療センター クリニックぎのわん」(沖縄県)の天願勇(てんがん いさむ)院長にお話を伺いました。
クリニックぎのわんでは、がんのセカンドオピニオン外来を設けて生活習慣の改善に力を入れるとともに、高濃度ビタミンC点滴療法や免疫療法、食事療法などの代替療法も取り入れて、がん治療にあたられています。
がん予防の鍵は『日々の生活の質』にある。快食・快便・快眠で新陳代謝を促す
——がんは早期発見が大事だと言われますが、かからないことにこしたことはありません。先生はがん予防に何かされていますか。
天願 がんは体の中で1日に約4000個の細胞が突然変異することで起こります。血液のがん以外は、遺伝子変異したがん細胞が臓器の中で増殖して他臓器に転移する悪性腫瘍です。
日々、新陳代謝を繰り返している人体では、ストレスによる免疫力の低下、細菌、ウイルス感染、発がん物質の含まれたタバコやアスベストの吸引、暴飲暴食、加齢もがん増殖・浸潤のリスク要因です。
がんは生活習慣病であり、がん=死ではありません。私自身、がん予防の鍵は『日々の生活の質』にあると考えています。その要旨をまとめました。
①快食・快便・快眠で新陳代謝を促します。朝はフルーツグラノーラ+季節の果物+ヨーグルト+牛乳を、昼はクリニックで玄米や胚芽パンなどの健康食を摂っています。月・水・金の夜は、野菜サラダとモズク、コンブ、納豆など手作り料理、週1回の外食は肉や新鮮な魚料理、沖縄ソーキそば、ゴーヤーチャンプルー、担々麺と餃子を好んで食べます。
睡眠前には歯と舌磨きを励行して、口腔内ケアは低分子フコイダンジェルを使用しています。便通は2〜3回/日で快便です。睡眠はCPAPを装着して早寝早起きで8時間、また30分ほど昼寝します。
②筋トレとスクワット、週3回は加圧整体マッサージを受けています。週2回はゴルフに行き日光浴を約5時間しています。
③漢方薬の補中益気湯と抑肝散に加えて、タンパク同化ホルモン剤、降圧剤を内服しています。
④週1回ビタミンCとB、コンドロイチン、ミノファーゲン、プラセンタの注射と、月1回は男性ホルモンデポ注射を受けます。これは102歳になられるT医師からの直伝です。
⑤先ほどCPAPを装着しているとお話ししましたが、これはイビキや睡眠時無呼吸症により安眠できないと健康に影響するからです。
⑥ストレス解消法としては、胸腹式深呼吸(ロングブレス)を行い、プラス思考を心掛けています。好きな旅行で気分転換を図りますが、現在はコロナ禍で自粛中です。
——沖縄は冬でも10度を下回ることがほとんどないそうですね。このように温暖であることが免疫力を下げないことに寄与しているのではないかと思っています。
先生はそれに加えて健康に配慮された生活を送られていて、よく気をつけておられると感心しました。
では、早期発見のための検診はどうされていますか。
天願 既往歴としては28歳のときに執刀した手術中にB型肝炎に感染しましたが自然治癒しました。60歳のときに抗菌剤使用してピロリ菌除菌しています。医師会のドックは毎年受診しています。腫瘍マーカー(CEA、CA19—9)と、3カ月ごとに血液検査+NK活性もチェックしています。
付け加えると、がん保険には2社で40年間加入しています。生きている間にがん保険を最大限に活用したいと思っています。
——ピロリ菌を除菌することは胃がん予防に効果があると言われていますので、私も行いました。マーカーやNK活性チェックも行いたいのですが、一般人には敷居が高い検査です。
残念ながらがんになってしまった場合はどうされますか。治療法をお聞かせください。
天願 まず、日本対がん協会や国立がん研究センターの専門医のセカンドオピニオンを受けます。そして、セカンドオピニオンも受けて、その上で最後は自分の判断で決めます。病状によっては、治療を受けないとの選択肢もあります。
ステージⅢ以上の進行がんで発見された場合は標準治療はお断わりし、自分なりに実践してきた統合医療を実践します
——セカンドオピニオンは、がん治療の場合には必ず受けたほうが良いと私も思います。1人の医師だけでなく、専門科目が違う数人の医師の意見を聞くのが良いのではないでしょうか。
ところで、今お話しになったことで、仮にがんの発生時期が今より若かった場合や逆に老年期になった場合であれば、何か違いがあるかお話しください。
天願 私は現在74歳です。今日で生まれてから2万7010日ですので、人生の遊行期を迎えたといえますが、3万日となる82歳まで健康に生きたいと願っています。もしもステージⅡで発見された場合は、手術、がん遺伝子検査の結果、遺伝子免疫療法は受けたいと思います。ステージⅢ以上の進行がんで発見された場合は標準治療はお断わりし、これまで20年間自分なりに実践してきた統合医療を実践します。私のセカンドオピニオン外来では、1000名を超える患者さんに食事療法とNK活性を高める免疫活性療法を指導してきたので、10年サバイバーの方々と患者会で報告できる資料を残したいと思います。
——20年間に渡り実践されてきたがん治療であれば、効果が期待できそうですね。また、患者会はともに励まし合うということから治療意欲が湧き、治療面に良い効果をもたらすと思います。
それでは、考えたくないことですが、万が一がんが進行して、医師より「もう治療法はない」と言われたらどのようになされますか。
天願 残りの日々を大切に、好きなことをして最期まで人生を楽しみたいと思います。緩和ケアを受け、『望みあるところ 光あり』の心で死を迎えます。そして、琉球大学に献体を申し込み、亡き妻と一緒に立ち上げたデイサービス『さんだん花』の職員やその家族との時間を大切にします。
また、自分自身の体験を記録し、『がんと人生』の本を出版したいと思います。貴誌は長らくがんに関する本を発行されているので、何か良いタイトル名があれば教えてください。