連載 第88回 「医師である私ががんになったら」

内視鏡での切除が可能であるため、がんは早く見つけることが
大切であると普段患者さんを通して痛切に感じている

 
取材協力● 片山貴文   わかばクリニック 院長

 もし〝がん〟になってしまった場合、当然医師に診ていただくことになりますが、医師によって治療法が異なる場合があります。最近はセカンドオピニオンも定着してきましたが、なかにはいまだに患者さんから「セカンドオピニオンを受けるなら他の病院に行ってくれ」などと主治医に言われたという話も聞きます。
 そこで、医師自身のがんに対するお考えや、どのような選択を取られるのかなどをがん治療で活躍されている先生にシリーズにてお聞きしています。
 今回は、家族に対するような心のこもった医療で地域に貢献する」ことを目指していらっしゃる、わかばクリニック熊本市の片山貴文院長にお話を伺いました。
 片山院長は一般診療とともに、統合医療として高濃度ビタミンC点滴療法、オゾン療法、高濃度水素吸入療法を取り入れられ、在宅医療では積極的に訪問診療にも取り組まれていらっしゃいます。

取材・構成 吉田 繁光 本誌発行人

がん検診は毎年人間ドックで胃カメラ全大腸カメラを通常検査に加え行っている

——がんは早期発見が大事だと言われますが、かからないことにこしたことはありません。先生はがん予防に何かされていますか。
片山 当クリニックで行っている高濃度ビタミンC点滴療法を予防として月1回50gで受けています。そして、高濃度水素ガス吸入療法を1日2時間ほど行っています。
 その他にがん予防につながる可能性のあるものとしましては、プラセンタ注射5A筋注を2週間おきくらいに行い、青魚の脂身に特に多い必須脂肪酸と呼ばれているEPA+DEA製剤を毎日服用しております。
——私もがん予防や健康維持のために高濃度ビタミンC点滴療法や高濃度水素ガス吸引療法は受けたいと思っていますが、先生はご自身のクリニックで取り入れられていらっしゃるので、気軽に受けることができてよいですね。
 それでは、早期発見のための検診はどうされていますか。
片山 がん検診は、毎年人間ドックで胃カメラ、全大腸カメラを通常検査に加えて受けています。また、クリニックで自費にて腫瘍マーカー検(CEA,SCC,PSA,p53Span-1,DUPAN-2)も毎年行っております。
 肺がんに関しては2〜3年おきに胸部単純CTを受けていて、脳腫瘍に対してはMRAと合わせてMRIを3年おきくらいに受けています。
 やはり、早期発見はとても大切と感じており、私の専門である消化器では特に早期胃がんや早期大腸がんであれば内視鏡での切除が可能です。ですから、とにかく早く見つけることが大切であると、普段から患者さんの診察を通して痛切に感じております。

標準治療が可能であれば、それに従いながら、高濃度ビタミンC点滴や高濃度水素ガス吸入療法を併用する

——早期発見は大切としながらも、このシリーズで検診は受けないという医師もいらっしゃいましたが、先生は積極的に受けていらっしゃいますね。
 しかし、残念ながらがんになってしまった場合はどうされますか。治療法をお聞かせください。
片山 万が一がんになってしまったら、当然そのときに標準治療が可能であればそれに従います。そして、標準治療と並行して、高濃度ビタミンC点滴療法や高濃度水素ガス吸入療法を受けると思います。
——本誌の誌名も『標準治療+統合医療でがんに克つ』ですので、あくまでも標準治療が基本という考えです。しかし、がんは難敵で標準治療だけで治らないこともあるので、それに加えて統合医療を取り入れるというスタンスですから、先生のお考えと同じです。
 では、今お話しになったことで、仮にがんの発生時期が今より先の老年期になった場合であれば、何か違いがあるのでしょうか。
片山 老年期といえども、今は場合によっては100歳でも手術を行っている時代ではありますが、私は、そのときのパフォーマンスステイタス(PS)で考えると思います。
 パフォーマンスステイタスとは、患者さんの全身状態を日常生活動作のレベルに応じて0〜4の5段階の指標で表したものです。80歳未満でPS0、つまり通常の社会活動が制限を受けることなくできて発病前と同等なら標準治療に則ります。しかし軽度の症状がある場合のPS1以上か、80歳以上であれば高濃度ビタミンC点滴療法、高濃度水素ガス吸入療法など、侵襲性のほとんどない治療のみを行うと思います。
——考えたくないことですが、万が一がんが進行して、医師より「もう治療法はない」と言われたらどのようになされますか。
片山 当クリニックではそのような患者さんもたくさん来られていますが、治療法がないという意味は標準治療がないということで、ほかにも治療法はいろいろあります。当院で行っている高濃度ビタミンC点滴療法や高濃度水素ガス吸入療法を受けていただくと、かなりQOL(生活の質)が良くなることを実感しています。QOLが良いのと悪いのでは大きな差がありますから、私も同様の治療を受けながら残された時間を有意義に過ごしたいと考えます。

 

片山貴文院長