漢方療法で「難治性がん」を治すことはできるのか?――その問いの裏にはもう1つの問いが隠されています。これほど進化した現代西洋医学をもってしても治せない難治性がんが、漢方なんかで治せるはずがないだろう――という感情的否定です。しかし……。
「漢方療法だけでがん細胞を完全消滅させることは難しいかもしれないが、再発転移を抑え良好なQOL(生活の質)を保ったまま生き抜けるようにすることは十分に可能。ときにはがん細胞の自殺も起こる」
これが漢方療法からのもっとも事実に近い答えです。
がん漢方療法は3方向から治療効果を発揮します。がん種や進行状態によって限界はあるかもしれませんが、あなたががんとどのように向き合いたいのか、その狙いに合わせた選択肢を提供できる奥深さが漢方にはあるのです。
①身体に備わる免疫機能を賦活することによりがん細胞の増殖を抑えるとともに生体維持機能強化の総合力で、再発・転移を予防する。抗がん剤・放射線療法などの副作用を抑制し、痛みの改善や食欲を増進することにより身体の抵抗力低下を最小限にとどめる。
手術後の回復を早めるためには漢方薬の術前投与が一層効果的――補中益気湯、十全大補湯、朝鮮人参など健康保険適用の安価な漢方薬にも力を発揮するものが多数あり。経済的な心配をせず誰もが気軽に使えるメリットは大きい。
さらに漢方は〝未病〟段階でがんの芽を摘み取り発病を阻止する、という予防効果もある。〝未病〟は漢方医学独特の診断で、まだ発病はしていないが免疫力の低下や血流の滞りなど生体維持機能の不調が限界に達していて、いつ発病してもおかしくない状態を言う。その段階で漢方薬を投与し正常に引き戻すことにより、発病を阻止しようというのだ。
②がん細胞が出す悪液質によって引き起こされる臓器や体組織の炎症と機能不全を修復。酸素供給能力などを高め体力・気力を賦活することで全身的なQOLを改善し、延命期間を目一杯引き延ばし天寿を全うさせる。生薬素材が希少なため少し高めだが、治療の目的を〝全身状態良好な延命〟第1と思い定めた人には、お勧め――冬虫夏草、霊芝、鹿角霊芝、紅景天、田七人参、紅豆杉など。
①と②は漢方本来のメリット。がんを完全に消すことに固執せず、がんとの共存も含め快適に延命できればそれでもよしとしながら、西洋医学のがん治療を高いレベルで安定的に支える。③目的をがん克服のみに絞り西洋医学的な考え方も加味した「中西医結合」という新しい漢方理論によって開発された最強の複合抗がん漢方中成薬。
アクセルとブレーキを組み合わせバランスをとるのが漢方本来の調剤なのだが、そこに西洋医薬の考え方に基づき攻撃型の生薬(アクセル)を多数集合させたもの。がん細胞を徹底的に攻撃し、がん細胞を〈アポトーシス=自死・自壊〉に追い込もうというもの――がん細胞を何が何でも封じ込めようという中国「北京振国中西医結合腫瘍病院」王振国院長の強い意思によって産み出された抗がん漢方『天仙液』が代表的。
天仙液は1983年に薬用植物の宝庫として知られる中国・長白山の自然生薬と動物性生薬30種の調合で最初「天仙丸」として世に出、5年後中国初の〝抗がん漢方薬〟として中国政府に認定された。漢方薬は○○病薬と言うように病名対象になってはいないのだが、これは今も唯一「抗がん」の冠が付いた漢方薬だ。
その後、臨床的改良がなされて1991年さらに強力な「天仙液」として完成された。今や世界のがん医療現場にも広く迎え入れられ、使用患者60万人~70万人とも言われている。使い方さえ適切であれば少ない毒性でがん細胞を自死へと誘導することで注目されている。
天仙液は漢方薬としては高価だが、難治性がんの緊急性を考慮するなら、抗がん漢方の第1選択肢に考えていいのかもしれません。
どの医療であってもがん医療の基本は「がん細胞の数を可能な限り減らす」ことだと言われます。体内のがん細胞が少ないほど患者さんの生存可能性は増します。そのため西洋医学ではまず手術でがん病巣を根こそぎ取り除き、さらに抗がん剤の毒性や放射線の熱でがん細胞を殺し尽くすことに力が注がれます。
このように力ずくで細胞を殺すことを〈ネクローシス〉と言います。しかしネクローシス狙いのがん医療はがん細胞だけではなく、正常細胞やがんと闘う兵力である免疫細胞にもダメージを与えます。勢いを増すがん細胞殲滅のため攻撃力を上げたらかえって体の防御力が低下し、がんは追い詰めましたが患者さんも亡くなりました――という悲劇さえネクローシス狙いの医療では珍しくありません。
〈アポトーシス〉によるがん医療はがん細胞が自死(自殺)していくものであり、患者さんの免疫力や正常細胞にダメージを与える危険性が少ないのです。すべてのがん細胞を殺し尽くすという意味では不完全なのかもしれませんが、残ったがん細胞と共存しながら特に不都合なく人生を全うすることも可能なのです。その状態を維持しながら免疫環境をしっかり保つように暮らしていたら、いつの間にかがんが消失したという症例も時折あります。
日本人の2人に1人ががんになるという今、がんは脳卒中や心臓病とともに3大生活習慣病のひとつとされています。となれば〈アポトーシス〉誘導こそがん医療の理想なのかもしれません。
「天仙液」は中国、台湾、アメリカ、イギリス、オランダ、日本など各国のがん研究機関や国立衛生研究所の研究者や臨床医らによって、その抗がんメカニズムと臨床治療の有効性が次々に明らかにされ、論文が一流の医学誌に多数発表されています。がん医療関係者対象の研究発表会も世界各国で随時開かれています。
2004年9月東京で開催された『これからのがん治療と統合医療に関する国際セミナー』では、開発者の王振国医師はじめアメリカなど4人の研究者が勢揃いして「天仙液」の臨床成果が明らかにされました。特に参加した医療関係者の注目を引いたのは、やはり「天仙液」が引き起こす〈アポトーシス〉現象でした。
国立台湾大学医学院免疫学の孫安迪博士の研究チームが5年間にわたり行った「天仙液」の動物実験とがん患者への臨床試験によるアポトーシス効果の証明は衝撃的でした。
①がん免疫を担うTリンパ球を増加させるとともに、マクロファージなど多様な免疫細胞を刺激してがんに対する攻撃力を賦活するサイトカイン(刺激物質)の刺激反応を高めることによります。「がん細胞の増殖と転移を阻害」する。こうして、体内環境を多角的に整えます。
②その上で、漢方系抗がん素材それぞれの作用を複合集中させます。それにより、がん細胞をすかさず破壊するナチュラルキラー(NK)細胞を賦活するとともに、がん細胞を直接傷害する漢方成分の相乗作用でがん細胞を〈アポトーシス〉へと誘導することが多くの症例を重ねながら明示されたのです。
中医学理論と西洋医学理論を組み合わせることにより、漢方の常識を超えるがん細胞殺傷力を少ない副作用で発揮した事例でした。
そのセミナーには私も取材に行っていて、発表の終了後王振国医師はじめ4人の研究者へのインタビューを行いました。それぞれの立場から「がん患者さんに向けて」として、興味深い本音が聞けましたのでアトランダムに紹介してみます。
◦王振国医師:「天仙液」の大量投与でがん病巣の縮小率は57・8%に。それが静脈点滴による投与では縮小率が80%に上がる(中国や西欧各国でのデータだが、日本では点滴が認められない)。手術可能ながんならまず取れるだけ切除し、抗がん剤、放射線療法が適用ならそれも無理しない程度に行ったうえで「天仙液」を使うと、さらにアポトーシス効果を起こしやすい。
自分自身を拠りどころにがんには負けないという強い意思を持つことがアポトーシス発現には大切。回復期に入ってからもすぐに「天仙液」による治療をやめてしまわないこと(3~6カ月は継続し定期検査も欠かさないこと)。再発予防こそ完全治癒への分かれ道(がん死の50~60%は再発による)。
食事療法を行い体内免疫環境と全身的活力を保つこと。「末期中の末期」を宣告されても決して諦めないこと。体本来の生命力を後押ししているうちに何が起こるかわからないのだから。天仙液には抗がん力だけではなく、冬虫夏草のように生命力そのものを強く賦活する生薬素材が多数配合してある。生き延びることを信じて飲み続けるとき、体はあなたの心に応えて動き始める。
◦ダニエル・C・クラーク(フロリダ統合医療大学教授:体のエネルギーを産生する細胞内小器官ミトコンドリアが長期にわたって酸素欠乏状態(35%を下回る)になると多くの細胞が突然変異を起こし、一部ががん化することが、1955年にドイツの研究者オットー・ワールブルクの実験で明らかになっている。「天仙液」の主要成分である冬虫夏草はミトコンドリアへの酸素供給力を高めることでがん化を阻止する。「天仙液」にはこうした作用を持つ生薬がほかにも配合されておりその相乗効果によって、がんワクチン的な働きが期待できる。
一方でミトコンドリアはすでにがん化した細胞を、アポトーシス誘導分子「P53」の刺激を得て自ら「シトクロムC」を放出することにより自死させる。これはNK細胞によるアポトーシスとは異なるもうひとつのアポトーシス誘導メカニズムだ。
(なおこの研究会の4年後には筑波大学の林純一氏によって、がん細胞の高度な転移能力獲得にはミトコンドリアが関与していることが明らかになる。そこではある種の活性酸素の介在があった。今ではミトコンドリアが、がん細胞の発生とがん特有の転移能力獲得とアポトーシス誘導に対して、切っても切れない関わりがあることがわかってきている。)
「天仙液」の多様な漢方生薬成分が多面的に働きかけることにより、ミトコンドリアのがんへの多面的介在局面を多角的にケアしていると考えられる――とダニエル教授はその日語った。
◦周東寛医師(がん臨床医):「天仙液」は生活習慣病としてのがんを、NK細胞を賦活させることによってアポトーシスさせる。がん細胞をアポトーシスさせる手立ては温熱療法、免疫賦活療法、気功などいろいろあるが、天仙液でそれらをソフトに大きく包み込むことによりアポトーシスが成功しやすくなる。
がん細胞はある種のサイトカインの強い刺激を受けると凶悪ながん(再発、転移する能力の加速化)になるのだが、西洋医学の3大療法時に「天仙液」を併用することで強い刺激が緩和され、がん細胞の凶悪化にブレーキがかかる。初期治療に「天仙液」を組み入れることが効果的だ。再発・転移が抑制されるため、延命効果が格段に高まる。がん治療時の副作用が軽減されることで、患者のメリットは大きい。
◦孫安迪博士:孫博士の発表についてはすでに紹介したが、さらに個別に語った言葉を紹介したい。
がん細胞は1000万個以上に増えると免疫が効果的に働かなくなるから、「天仙液」は可能な限り早い時期に使うこと。基本的に「天仙液」は抗がん漢方の切り札的な生薬を集合させてがん細胞のアポトーシスを狙うが、それだけではなく生体機能全体を生き生きとさせ生命活動を高めることも視野に入れた調剤になっている。患者が快適に生き抜くことができる工夫が凝らされているので臨床上安心して使えるだろう。
次のような配合だ。
・補気薬(霊芝、朝鮮人参、黄蓍など:弱った気を高め活力をつける)
・補陽薬(冬虫夏草、クコ:生命エネルギー強化と延命)
・補陰(チャガなど:体機能低下を補う)
・解毒解熱抗炎症に有効な生薬。
さらに注目すべきは丹参、当帰、冬虫夏草、田七人参、朝鮮人参、霊芝などといった抗老化薬がしっかり配合されていることです。抗老化素材は活性酸素の発生と害を阻止する働きに優れていることが中医学(中国医学)では太古から臨床的に証明されているもので、若返り延命の切り札とされています。活性酸素こそ細胞の遺伝子DNAを傷つけて正常細胞をがん化させる元凶と言われているのです。
孫博士は言います。
「がん発生の根本原因阻止と発生後の延命に強い力をバランスよく発揮する抗老化素材は、抗がん延命の切り札だったことが、現代医学的な研究で明らかになってきています。がんは加齢とともに発生率が高くなる老化疾患――これががんの本質です。老化疾患なら必ずしも過激な現代のがん3大療法だけにこだわる必要はない。もっと穏やかに、苦痛が少なくゆったりとした延命を中心にすえた、しかもうまくいけばアポトーシスの可能性さえある漢方治療は、がん治療の選択肢の1つとして十分に価値ある存在なのです」
孫博士のこの言葉は真理です。人は老い、いつかこの世を去らなければなりません。生には常に死も含まれています。死を含めての生なのでしょう。そして人生の末近くになって私たちの前に立ち現れてくるがんという病気は、長生きしたことの必然とも言えるわけです。
それとどう向き合うかは、人生の完成をどうするかという命題と等しいのかもしれません。問題は死なないことではなく、どう安らかに満足して人生を閉じるかこそが大事なのです。
がんはたしかに怖い。しかしやたら恐れることはありません。苦痛を和らげそれと静かに向き合う手立ては、ご覧いただいたように地球の自然が予めたくさん用意してくれていますし、その適切な活用の仕方も確立しているのです。それはちょいと角を曲がると、そこにあります。
追記―「天仙液」の抗がん主成分については公開されていますが、本稿ではスペースの関係上すべてをご紹介できておりません。主成分などの内容につきましては『がんを治す新漢方療法』(クリピュア刊)に、詳しく記載されておりますので、そちらを御覧ください。
『がんを治す新漢方療法』
(クリピュア刊)
※なお、外部サイトになりますが、本文中の「天仙液」の公式サイトについては、下記を御覧ください。
天仙液公式サイト